【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
「気にしなくていいよ。あんな詩乃ちゃんが見られて楽しかったし」
「あんな?」
私が首を傾げると、専務がくすりと笑った。
「本当に、なにも覚えてないんだ」
「えっと……」
戸惑う私に、専務が肩を揺らしながらこちらに視線をなげる。
試すような、意地悪な視線。
「昨日のことを覚えてて意識して避けられるのも嫌だけど、全く覚えてないってのもつまんないな」
意味ありげな言葉に、鼓動が早くなる。
「わ、私は昨日一体なにを……?」
動揺しながらそうたずねると、専務は軽く肩を上げただけで、なにも答えてくれなかった。
「そうだ。スーツをクリーニングに出したいんだけど、頼める?」
話題を変えるようにそう言われ、もっと追求したかったけれど仕方なく仕事モードに切り替える。
「かしこまりました。仕上がりはいつも通りで大丈夫ですか?」
専務の手からスーツを受け取りたずねると、微笑みながらうなずかれた。
その時、微かに指先が触れた。