【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
これは一体どうしたらいいんだろう。
専務に昨日のことを思い出しましたと謝った方がいいのか、それともこのまま忘れたふりを続けたほうがいいのか。
しゃがみこんだ胸の中に、専務のスーツを抱きしめたまま、そんなことをグルグルと悩む。
でも、忘れたふりをしてなかったことにするのは失礼だ。
専務にも新見さんにも迷惑をかけたのは事実だし、ここは社会人らしくちゃんと謝るべきだろう。
そう結論を出し、しゃがみこんだまま、うんと頷く。
すると、背後の非常扉が開いた。
驚いて振り返れば、不思議そうな顔をした専務が、扉の隙間からこちらを見下ろしていた。
「せ、専務……!」
「詩乃ちゃん、こんなところでどうかした? 桃井さんが、詩乃ちゃんの様子がおかしかったって心配してたけど」
首を傾げる専務に、私は緊張しながら息を吸い、口を開こうとする。
昨日はご迷惑かけましたって、謝るんだ。
酔っ払ってみっともないところを見せてすみませんって。
ベタベタと馴れ馴れしくくっついて、ソファーの上で添い寝をねだるように甘えてしまってすいませんって。
言うべき言葉を頭の中に思い浮かべて、かぶりを振った。
……そんなこと、とても言えないっ!!