【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「あ、冬木さん、ありがとう」
私がお茶を差し出す前にそう言って、専務がトレイの上から湯のみ茶碗を取り上げる。
隣にいる弘人さんにもお茶を手渡す。
弘人さんはそのお茶を受け取りながら首を傾げた。
「誠人。お前、恋人でもできた?」
「どうして?」
「なんとなく。雰囲気が」
「雰囲気って」
弘人さんにニヤニヤしながらそう聞かれた専務は、小さく肩を上げる。
「で、どうなんだよ」
「まぁ、気になってる子はいるよ」
お辞儀をして給湯室へ戻ろうとしていた私は、専務のその言葉に思わず驚いて足を止めた。
専務に、好きな人が……?
これだけかっこよくてモテる専務に恋人や好きな人がいても、少しもおかしくないけど、普段まったく女性の影がないからそんなこと考えたことなかった。
途端にずしりと胃のあたりが重く感じる。
「へぇ。どんな子?」
「三角の耳に、黒くて長い尻尾が可愛い女の子」
「なんだ。猫かよ」
期待はずれだ、と弘人さんが不満そうに肩を落とす。
反対に、私は驚いて小さく飛び上がった。