【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「ま、こんな時期にふらふら女の子と遊んで問題になるよりは、猫のほうがいいけどな」
そうつぶやく弘人さんに、専務は肩を揺らしながら話す。
「一生懸命気を引いてるんだけど、なかなか懐いてくれないんだよね」
「それならもっと人懐っこい猫にすればいいのに」
「でも、誰にでも愛想のいい子より、普段は無愛想なのに自分にだけ懐いてくれる子の方が可愛くない?」
「まぁ、その気持ちも分かるけど」
そんな冗談を言いながら、不意に専務がこちらに視線を投げて小さく笑った。
ふたりだけの内緒だよ、と囁くような、秘密めいた笑み。
思わずカッと頬が熱くなる。
別に専務は本気でそんなことを言っているわけじゃなく、ただの冗談に決まってるのに。
ただ、私のことをからかっているだけなのに。
落ち着け、落ち着け。心のなかでそう繰り返す。
「動物と仲良くなりたいなら、とりあえず餌付けじゃねぇ?」
「餌付けかぁ」
そんな会話を聞きながら、持っていたトレイで顔を隠し深呼吸をした。