【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「来週の水曜日にレセプションパーティーが入っております」
私が詳細の書かれた招待状を差し出してそう言うと、専務は嫌そうな顔をした。
「パーティーかぁ」
堅苦しいのは苦手なんだよなぁ、とつぶやく専務にかまわず話を進める。
「フードトレードショーのレセプションですし、ドレスコードもインフォーマルですし、そこまで堅苦しくはないと思いますよ」
フードトレードショーは、大きなイベント会場で行われる、フードビジネスの商談展示会。
製造、卸売、小売、外食と業界の垣根を越えて、食に携わる企業が出店する大規模なイベントだ。
毎年その開催前日に、ホテルの大ホールを貸し切って、主要企業を招待したレセプションが行われる。
「社長も奥様も参加されます。それから副社長も」
「じゃあ俺は……」
「もちろん参加していただきます」
専務の言葉をピシャリと遮ると、うらめしそうな顔で私を見る。
レセプションパーティーの目的は、ビジネスの商談ではない。
業界を越えた人脈作りだ。
さりげないお世辞も何気ない世間話も、役員の重要な仕事のひとつ。
私がそう説明すると、専務はため息を付きながらも「わかった」頷いてくれた。