【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「わ……!」
すごい。
髪型と、すこしメイクを直してもらっただけなのに、ぜんぜん印象が違う!
「冬木は髪を全部まとめてるより、少し下ろした方が似合うのにって、前から思ってたのよね」
大野さんが楽しげに言いながら、熱の冷めたコテをポーチの中にしまう。
「あ、ありがとうございます。すごいです、大野さん。プロにメイクしてもらったみたいに別人……」
「何言ってるの。元々の素材がいいのよって自信を持てばいいのに」
私が鏡をぼうぜんと見つめ驚いていると、大野さんに肩を掴まれた。
「ほら、立って」
そう言われ、慌てて椅子から立ち上がる。
「背筋伸ばして、顎は引く」
「はいっ」
鋭い口調で命令され、言われたとおり姿勢を正す。
「秘書は主役じゃないんだから、必要以上に愛想を振りまく必要はないからね」
「はい」
「無理してお世辞を言ったり、笑ったりしなくていい」
「はい」
「ただ専務の後ろに控えて上品に微笑んでいればいいから」
そう言われ、黙り込んだ。
上品に微笑むなんて、無表情が染み付いている私にできるだろうか。