【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

専務は私の存在を忘れてるんじゃないかと思うほど自然に楽しげに談笑しながら、でもさりげなく私の姿を目で追っていた。

会話が途切れた瞬間、飲み物を口に運ぶ瞬間、誰かの姿を見送った瞬間。
ふとした瞬間に、微かに首を傾け、こちらに視線を投げる。色っぽい微笑みとともに。

ちょうど今も、奥様と大野さんと一緒にいる私を見つけて、微かに笑って目を細めた。

「なんだか誠人はすっかり冬木さんのお世話になっているみたいね」

その様子を見ていた奥様がくすくすと笑う。

「いえ、とんでもないです」
「冬木さんはいつもよくやってくれてるって、主人も褒めているのよ。これからも誠人をよろしくね」
「ありがとうございます。まだまだ至らないところばかりですが、頑張ります」

そう言われ、私は慌てて頭を下げる。

「あ。もちろん、大野さんのこともいつも褒めてるわよ」
「恐縮です」

隣にいる大野さんにも忘れずにそう気を使う。こういう優しさも、専務にそっくりだなと思った。

「綾崎さん、お久しぶり」
「あら、宮園さん!」

遠くから声をかけられ、奥様が嬉しそうに笑う。
どうやら昔からの知り合いがいたらしい。

 
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