【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「聞いたわよー。おめでたい話があるらしいじゃない」
「そうなの。三十過ぎてもフラフラしててどうなるのかと心配していたんだけど、ようやくその気になってくれたみたいでね」
楽しげに話しながら、奥様が私に向かって小さく「それじゃあ」と手を振る。
深く会釈をして見送りながら、ふーっと息を吐き出すと、目の前に何かが差し出された。
驚いて瞬きをすると、いつの間にか専務が私の隣にいた。
「疲れた?」
「いえ」
首を横に振りながら、差し出された物を受け取る。
よく見れば、スモークサーモンとクリームチーズが乗ったクラッカー。
わざわざ私のためにこれを持ってきてくれたのかな、と首を傾げて専務を見上げるとお皿を差し出された。
専務の持つお皿には、他にもホタテのクリームソースや鯛のフリット、オリーブとエビのピンチョスなど、美味しそうな料理が乗っていた。
「詩乃ちゃん、最近魚介類好きだよね」
「そうですか?」
特に好物というわけではないけれど、「ありがとうございます」と頭を下げた。
パーティーが始まってから、緊張して食事をする気にもなれなかったから、料理を目の前にして空腹だったことに気付く。