【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「兄貴が前に、仲良くなりたいなら餌付けだって言ってたなと思って」
「私は猫じゃありません」
またそうやって人をからかう意地悪な専務に、私は顔をしかめてみせる。
専務はそんな私にお構いなしで、首元のネクタイを乱暴に緩めた。
あぁ、せっかくかっこよくスーツを着こなしているのに! と慌てる私をよそに、専務は「気づかれしたなー」とつぶやく。
「もう少しなので、我慢してください」
慌てて専務に近づき、緩んだネクタイに手を伸ばし締め直す。
美しく整ったシルバーグレーのタイに満足して頷いていると、専務が話しかけてきた。
「そういえば兄貴が、俺が猫を飼ってると勘違いして、猫じゃらしとか首輪とかいっぱいくれたんだけど、詩乃ちゃんいる?」
「いりません」
「詩乃ちゃんに似合いそうな、綺麗な黒いサテンのリボンもあったから、今度首につけてあげようか?」
耳元でそんなとんでもないことを言いながら、専務の指が私のうなじに微かに触れた。
その瞬間、カッと頬が熱くなる。
「つけません!!」
猫耳を後ろに倒し、尻尾を逆立てた私を見て、専務が楽しげに笑う。
「そっか。残念」
くすくすと笑いながら、首を傾げて私を見下ろした。