【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「それ、試してみたの?」
「試すって……」
「ちゃんと食ってる?」
「うん」
「睡眠は?」
「十分に」
「……じゃあ、のこりひとつか」

呆れたようにつぶやかれ、いたたまれなくなる。
私がうなだれていると、千葉くんが大きくため息をついた。

「お前、あの御曹司と付き合ってんの?」

とんでもない事を聞かれ、私は慌てて首を横に振る。

「まさか!」
「ふーん」

激しく否定した私を、千葉くんは不機嫌そうに眺めた。
何かを考えるように頬杖をつき、私の頭の上の猫耳を眺める。
そして、ぽつりと言った。

「……じゃあ、俺とする?」
「は?」

彼がなにを言ったのか、理解するまでに数秒かかった。
言われた言葉を何度も頭の中で反芻して、目を見開く。

「す、するって!」
「だから、俺と寝てみる?」
「な、なんで……!」
「あの無愛想な猫の未練を晴らして、成仏させてやりてぇんだろ?」
「それは、そうだけど……」

私と千葉くんが、そういうことを。
たとえハチを成仏させるためとはいえ、ありえない。絶対無理だ。

 
< 140 / 255 >

この作品をシェア

pagetop