【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
口をつぐんで黙り込んだ私に、千葉くんはわざとらしいほど大きなため息をつく。
「じゃあ、ほかに抱いてくれそうな男でもいんのかよ」
「そ、そんな人、いないけど……」
いつまでもこの状態じゃダメだってわかってる。
ハチを成仏させるために、色々試してみなきゃ、なにも解決しないってわかってる。
でも、でも……。
理性と感情がせめぎあう。
色々考えて、それでも無理だと思ってしまう。
理屈じゃなく、本能で。
好きでもない人に、触れられるのなんて、無理だ。
黙り込んだ私を見て、千葉くんがおもむろに口を開いた。
「……なぁ。お前、あの御曹司のことが好きなの?」
「……っ」
その言葉に、一瞬息がつまる。
慌てて動揺を振り払い、口を開いた。
「何言ってるの。私が専務を好きなわけない。秘書が担当してる上司に好意を抱くなんて、ありえない」
「バカじゃねえの。そうやって仕事を言い訳にしてる時点で、完全に惚れてんだろ」
図星をつかれ、唇を噛んだ。
相手は上司なんだから、好きになっても無駄だ。そう何度も自分に言い聞かせてきた。
仕事を言い訳にして、ずっと自分の気持に気づかないフリをし続けてきた。
きっと、もう何年も前から。