【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
そんな私の体を腕一本で軽々と支えた専務が、私の背後にあるデスクに片手をついて腕の中の私を見下ろしていた。
いつも穏やかに笑う専務が、真剣な表情で私を見ていた。苛立ちが彼の色気を際立たせる。
専務のこんな顔、はじめて見た。
この人は、笑っていても怒っていても、本当に魅力的だな、なんて場違いなことを思っていると、睫毛と睫毛が触れた。
ふわりと触れた感触に驚いて視線を上げた時、唇が塞がれていた。
「ん……っ」
驚いて反射的に目の前の胸を押し返すと、その手を捕まえられた。
優しく手首を掴まれて、私の指先が宙を泳ぐ。
その隙きに、繰り返される口づけ。
ただ、唇を合わせているだけ。
それだけの行為のはずなのに、胸の内側がぞくぞくと甘くうずく。
まるでひどく敏感で繊細な神経を直接手でなぞられているように、恐怖と快感が同時に体を駆け上がってくる。
「せん、む……」
キスの合間にもがくようにそう言うと、専務はキスをしながら喉の奥で意地悪に笑った。
その笑みの色っぽさに、めまいがする。
もう自分の足で立っている事もできなくて、専務の体にしがみつくようにしてなんとか立っていると、背後のデスクの上にある電話が鳴った。
その音に一気に現実に引き戻されて、びくんと体が強張る。
そんな私を胸に抱き寄せたまま、専務は冷静に手を伸ばし、通話のボタンを押した。