【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

ハチを無理やり除霊させようっていうの!?

千葉くんの予想外の言葉に、思わず目を見開く。

そんなのいやだ。
ハチの未練を晴らすことなく、まるで悪霊みたいに祓って除霊するなんて。

ひどく鼓動が早くなる。呼吸が苦しくて、胸が痛い。
私の体の中でハチが、嫌がっているような気がした。
きっと、無理やり除霊をされて、引き離されるのなんて嫌だって怒ってる。

慌てて掴まれた腕を振り払おうとしたけれど、掴んだ腕に力を込められて、思わず痛みに顔を歪める。

「千葉くん、離して!」

必死にもがくと、その拍子に右手に持っていた傘が手から離れた。
淡いクリーム色の傘が、地面を数度跳ね、風に飛ばされ舞い上がる。

「お前、ずっと取り憑かれたままでいたらどうなるか、ちゃんと考えたことあるか?」

千葉くんにそう怒鳴られ、驚いて瞬きをした。

「え……?」

私だって、猫耳が生えたままでいいとは思っていないけど、どうしてそんな怖い顔で怒っているんだろう。

そう思っているとビル風に煽られた傘が、高く舞い上がり、でもすぐに見えなくなった。
その間にも雨は振り続け、髪を肩を服を、あっという間に濡らしていく。

< 152 / 255 >

この作品をシェア

pagetop