【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
ハチを無理やり除霊させようっていうの!?
千葉くんの予想外の言葉に、思わず目を見開く。
そんなのいやだ。
ハチの未練を晴らすことなく、まるで悪霊みたいに祓って除霊するなんて。
ひどく鼓動が早くなる。呼吸が苦しくて、胸が痛い。
私の体の中でハチが、嫌がっているような気がした。
きっと、無理やり除霊をされて、引き離されるのなんて嫌だって怒ってる。
慌てて掴まれた腕を振り払おうとしたけれど、掴んだ腕に力を込められて、思わず痛みに顔を歪める。
「千葉くん、離して!」
必死にもがくと、その拍子に右手に持っていた傘が手から離れた。
淡いクリーム色の傘が、地面を数度跳ね、風に飛ばされ舞い上がる。
「お前、ずっと取り憑かれたままでいたらどうなるか、ちゃんと考えたことあるか?」
千葉くんにそう怒鳴られ、驚いて瞬きをした。
「え……?」
私だって、猫耳が生えたままでいいとは思っていないけど、どうしてそんな怖い顔で怒っているんだろう。
そう思っているとビル風に煽られた傘が、高く舞い上がり、でもすぐに見えなくなった。
その間にも雨は振り続け、髪を肩を服を、あっという間に濡らしていく。