【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい

夜明けと逃走

 



二年前。それまで勤めていた総務から秘書室への異動の辞令を受けた時はおどろいた。


どうして私が?

そう思ったけれど、移動先で上司になる人物の名前を聞いて、すとんと納得した。

綾崎グループの御曹司で、専務取締役の綾崎誠人。
無自覚に女を誑かす、とんでもなく魅力的な男。

朝のロッカーで、お昼の休憩室で、仕事の合間の給湯室で。
女子社員の間でその名前が上がらない日はないほど、みんな彼に惹かれていた。

グループ内の子会社から本社に移り、役員になって二年。
その短期間に彼を担当する秘書が三人変わった。
秘書について詳しくない私でも、そのペースが異常なのは分かる。

その交代の理由が、担当する秘書がみんな彼に惚れて仕事にならないからだ、という噂も聞いていた。


そんな彼の秘書に私が。


 
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