【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「そっかぁ。セックスでもすれば、その猫も成仏するかと思ったんだけどなぁ」
まいったなぁ、とボリボリと頭を掻いて、顔をしかめる。
「あのね……。こんな事を言っても困るかも知れないけど、言っていい?」
言いづらそうに切り出したクミコさんに、戸惑いながら頷いた。
「愛情がないから、消えないのかもしれないわ」
「愛情……?」
「お願いして抱いてもらうんじゃなくて、あんたのことが好きだって相手と、ちゃんと愛されてセックスしないと消えないのかもしれない」
「そんなの……」
何か言おうとして、でも途方に暮れて、何も言えなくなる。
『ちゃんと愛されて』
クミコさんの言葉に、心の中が擦り切れるように痛んだ。
そんなこと言われたって、どうしようもないのに。
こんな可愛げのない女を、好きになってくれる人なんていない。
そんなこと、わかってる。
だったら、一生この猫耳が消えることはないんだ。
この先ずっと、ハチの未練が晴れることなんてないんだ。