【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

口を継ぐんだ私を、クミコさんは気の毒そうに見下ろす。
しばらく黙り込んだ後、私の羽織っていたコートを指差した。

「さっきから電話なってるけど、でなくていいの?」

私のコートのポケットの中で、ずっとスマホが震え続けていた。

「きっと、あのイケメンが心配してかけてるんじゃない?」

専務は優しいから、あんな素っ気ない置き手紙一枚でいなくなった私を、きっと心配してくれてるんだろう。

……でも、そんな専務に、なんて言えばいい?

『せっかく抱いてもらったのに、愛がないから猫耳は消えませんでした』なんて、情けなくて言えるはずがない。

猫耳と尻尾を生やしたまま、以前のように専務のために仕事をするなんて、もう無理だ。
専務に尻尾や耳の動きをからかわれるたびに、彼に愛されていないことを突きつけられるなんて。


そんなの、つらすぎる。


 
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