【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
震え続けるスマホをポケットから取り出すと、ディスプレイに表示されているのは専務の名前。
その画面を見ながら、電源ボタンを力いっぱい押した。
ぷつりと息絶えたように動きを止め暗くなったスマホを両手で握って、声を上げて泣いた。
どこか遠くへ行ってしまいたい。
誰も知らない場所に。ひとりで逃げてしまいたい。
けれど、どこに行ったって、この猫耳と尻尾が私から見えなくなるわけじゃない。
誰にも愛されることもなく、消えることもないこの尻尾と耳を見るたびに、専務のことを思い出してしまうんだ。
苦しくて苦しくて、声を上げて泣いた。
そんな私を、クミコさんは困ったように見下ろしていた。