【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

泣きすぎて乾いた体を、ホットミルクの甘い匂いと温かいラムが、ふわりと脱力させていく。

このまま考えることを放棄して、眠ってしまうのもいいかも。
もう疲れた。なにもかも。

まぶたが重くなって、うつらうつらと頭を揺らしていると、意識の遠くでクミコさんが誰かと電話している気配がした。
ぼんやりと目を開けると、クミコさんが電話をしながら困ったように私のことを見ていた。

「でも、この子今取り乱してるから、ちょっとそっとしておいてあげた方が……」

その会話の内容で、相手は専務だと分かって飛び起きる。
顔色を変えた私に、クミコさんは慌てたように電話を切った。

「専務と、電話をしてたんですか……!?」
「うん。ほら前に名刺を渡したじゃない? あれを見て電話してきたみたい。すごく心配してたわよ」
「専務は、なんて……?」
「今からこっちに来るって」

そう言われ、体が強張る。
一体どんな顔をして、専務に会えばいいのかわからない。

 
< 186 / 255 >

この作品をシェア

pagetop