【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
自分の部屋に帰って鍵をかけて、閉じこもろう。
そう決めて自宅のマンションへと向かう。
そうすれば、少なくとも今日と明日は専務に会わなくて済む。
その先のことは、どうすればいいのかまだわからないけれど、とりあえず今のことだけ考えていないと、混乱して頭がおかしくなってしまいそうだ。
しかし、辿り着いた部屋のドアの前で、私を待っている人がいた。
「詩乃」
低い声で名を呼ばれ、びくりと体が強張る。
「どうして……?」
青ざめた私に、千葉くんは呆れたように笑った。
「お前、すげぇ顔。泣いたの?」
それよりも、なんで千葉くんがここにいるのと顔をしかめれば、「気になって来てみた」と素っ気なく答える。
「あの御曹司から、お前がいなくなったって電話がきてさ」
「専務が千葉くんに……?」
「調べたらしいよ。俺が会社の前でお前を待ち伏せしたときから、俺の勤め先も電話番号もわかってたって。御曹司様の財力すげぇな」
金持ちこえー、とおどけて笑う。
「心配してたぞ。取り乱して俺なんかに連絡してくるくらい、お前のことを必死に探してた」
そう言われ、俯いた。