【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
私の言葉を聞いて、千葉くんが顔をしかめた。
「あー、そっか……」
千葉くんが頭を掻きながら口ごもり黙り込む。
もしかして、みじめな私に慰めの言葉でも探してるんだろうか。
でも、なにも聞きたくなくて、遮るように口を開いた。
「分かってる。私みたいな可愛くない女を、好きになってくれる人なんていないって。どうせ、この猫耳と尻尾は消えないんだよ」
ぎこちなく笑ってそう言った私に、千葉くんは眉をひそめる。
「それ。もしかして、俺が昔言ったことを気にしてる?」
『お前みたいな可愛くない女と、本気で付き合うわけねぇだろ! うかれてんじゃねーよ』
十年前、高校生だった千葉くんに言われた言葉を生々しく思い出して、胸が痛んだ。
苦しくて顔をそらすと、千葉くんは驚いたように私の肩を掴んだ。
「……冗談だろ。もう十年も前だぞ?」
「だから、十年間、勘違いしないように浮かれないように、ずっと自分に言い聞かせてきた。私みたいな女を好きになる人なんていないって。もう『好き』なんて言葉に騙されたりしないって」