【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「お前、バカじゃねーの?」
「バカって……」
ひどい。
その言葉に、私がどれだけ傷ついてきたのかも知らないで。
そうつぶやくと、千葉くんが顔をしかめた。
「いや、バカなのは俺だけど……」
いつもはっきりと物を言う千葉くんが、珍しく歯切れ悪くそう言って俯いた。
マンションの通路に視線を落とし「マジか……」とつぶやく。
考え込むように壁に寄りかかり、持て余した足を何度か壁を軽く蹴ると、視線を上げこちらを見た。
「詩乃。お前、俺と北海道に戻る?」
「北海道って……」
突拍子もないことを言われ驚くと、千葉くんは小さく肩を上げた。
「お前、もうあの御曹司と一緒に仕事するのつらいだろ。仕事やめて、地元に戻れば?」
確かに、今までのように専務のそばで働くのはつらいけど、でも。仕事を辞めるなんて、それまで一度も考えたことがなかった。