【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「前に言ってた、除霊してくれるとこ行って相談してみよう。その猫耳が消えても消えなくても、ここでお前ひとりで悩んで苦しむより、地元に戻った方がいいんじゃねぇ?」
「でも……」
「自分でも勝手なことを言ってるってわかってるけど、この状態のお前をひとり残して地元帰るなんて、心配でほっとけない」

千葉くんが真剣な口調でそう言った。
その言葉にはからかいも嘘もないのは伝わってくる。

「どうして、私なんかにそんな……」

千葉くんが私のことを考えて言ってくれているのは分かる。
わざわざお祓いの場所を調べたり、土曜のこんな朝早くに家までやってきたり。
でも、十年前、あんなひどい言葉で私を振ったくせに、どうして今更と思ってしまう。

「俺は、お前のことが好きだった」

静かな声でそう言われ、驚いて息を飲んだ。

「地味で大人しくて不器用で、いつもクラスの隅っこにいたお前のことが、ちゃんと好きだった」
「なんで、友達がいっぱいいてみんなに好かれる千葉くんが、私みたいな地味な女を……」
「他のやつがめんどくさがってやりたがらない仕事を、いつもお前がひとりでこっそりやってるのに気づいた時、良い奴だなって思った。それからずっと、お前のことが気になりはじめて目で追ってた」


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