【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 
「お前のことを好きだって男とすれば、あの無愛想猫、成仏するかもしれねぇんだろ?」
「でも、だけど……」
「高校の時、本気でお前のことが好きだった。あの時言った俺の言葉を未だにお前が気にしてたって知って、ほんと悪かったと思ってるし、少し嬉しい」
「嬉しい?」

思わず私が顔をしかめると、千葉くんは苦笑いをする。

「お前も、俺のことが好きだったから、忘れられなかったんだろ?」
「それは、そうだけど……」

戸惑いながら頷く。

あの頃は、千葉くんのことが大好きだった。

私とは正反対の、明るくてはっきりものを言える千葉くんに憧れていた。
そんな千葉くんが私に話しかけてくれるのが嬉しかった。

部活中のグランドで、陽に焼けて小麦色の千葉くんが、私を見つけて笑う。
その笑顔を見るたびに、胸がぎゅーっとしめつけられた。

胸が苦しくてくすぐったい。
幸せなのにおつちかない。
あんな感情は、生まれてはじめてだった。

だから、『お前なんかを好きになるわけない』と言われた時は、ものすごくショックだった。

 
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