【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「せっかくお願いして抱いてもらったのに、ハチを成仏させてあげることができませんでした」
「うん。クミコさんからも聞いた」

不機嫌そうな低い声でそう言う。

「だったら話が早い」

私の腕をつかんでいた千葉くんが、そう言って笑った。

「愛がない相手とセックスしても意味ないんだってよ。優しい御曹司様は頼りない秘書のことが放っておけねぇんだろうけど、もうあんたの出る幕はないから」

掴んだ私の腕を引き寄せ、抱きしめる。
驚いて千葉くんの腕から逃げようともがく私を見て、専務は薄く笑った。

「俺と寝ても猫耳が消えなかったから、今度はそいつの試すの?」
「ちが……っ!」

慌てて首を横に振る私に、専務は綺麗な二重の瞳を細めた。

「無駄だよ」

そう言って、意地悪に笑う。

「は? 無駄?」

カチンときたように千葉くんが言い返そうとすると、専務は微かに首を傾げて私を見下ろした。

「詩乃ちゃん、俺がどうして君を抱いたと思う?」
「そ、それは、私がどうしてもって頼んだから……」
「頼まれれば、誰でも抱く男だと思ってる?」
「まさか!」

そんなわけない、と慌てて首を横に振る。

< 199 / 255 >

この作品をシェア

pagetop