【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「だけど、専務は優しいし、面倒見がよくて責任感も強い人だから……」
「詩乃ちゃん。俺は君が思うよりも優しい男じゃないよ」
「ど、どういう意味ですか?」
「好きでもない女の子にどんなに頼まれたって抱いたりなんてしないし、惚れてもいない子のために、こうやって走り回ったりなんかしない」

それはどういう意味なんだろう。
そんなふうに言われたら、勘違いしてしまいそうになる。
この思いが叶うわけないってわかってるのに、期待をしてしまいそうになる。

戸惑いながら専務の顔を見上げると、呆れたように彼が笑った。
整った顔が笑うとくしゃりと崩れる。ずるいくらい、魅力的な笑顔。

「本当に、いくらなんでも鈍すぎ」
「え……?」
「いい加減気づけよ」
「専務……?」

呆然としていると、専務がこちらに近づいた。
いつの間にか千葉くんの腕からは力が抜けていて、私の肩を抱いていた腕がするりと下に落ちた。

私も専務に向かって近づこうと一歩踏み出す。
その踏み出した膝が、緊張で小さく震えていた。

 
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