【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「好きだよ」
専務が私に向かってそう言った。
いつも私の事をからかう甘くて艶のある声でそう言って、ゆっくりと瞬きをする。
軽く首を傾げこちらを見下ろす。
きれいな唇の端を片方だけ微かに上げる。
目を見開く私に向かって、どうしようもなく魅力的で意地悪な笑みを浮かべる。
その全てが、夢でも見ているかのように信じられなくて、何度も瞬きをした。
「ずっと前から、君が好きだよ」
頭の上の、耳が震えた。
黒い尻尾もぷるぷると小刻みに揺れて、体がどうしようもなく熱かった。
「わ、私も……」
鼻の奥がつんとして、胸がいっぱいで、唇が震えて、うまく言葉が出てこなくて。
それでも必死に口を開く。
「専務が、私なんかを本気で相手にしてないって。からかわれてるだけだって。何度自分に言い聞かせても、どうしようもなくドキドキして。秘書が担当する上司に恋をするなんて許されないって思っても、どうしても止められなくて。気がついたらもう、自分でもどうしたらいいのかわからないくらい、専務のことが好きです」
その時、ぶわっと全身の産毛が逆立つような感覚が走り、思わず肩をすくめて目をつぶった。