【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 
「どうせお前、ひとり暮らしの部屋で猫に向かっていつもうじうじ悩みを言い続けてたんだろ? 言いたいこともろくに言えずに、猫にしか素直に慣れないお前に十何年も飼われて猫が、そんな頼りない飼い主をひとり残して死ぬなんて、心配で成仏できねぇに決まってる」
「え、じゃあクミコさんが言ってた、三大欲求とかは関係ないわけ!?」
「だろうな」

驚く私に千葉くんは頷く。

確かに、あのハチが、自分の欲求を満たすために私に取り憑くなんて、変だとは思ったけど……!

「じゃあ、詩乃ちゃんが俺のことを好きだって素直に伝えられたから、ハチが安心して成仏したってこと?」

専務がそう言いながら、私のことを見つめる。
その視線が妙に色っぽく見えて、恥ずかしくて慌てて視線をそらした。

どうしよう。昨日、あんなことをしたせいか、意識しすぎて専務の顔を直視できない。
そんな私を見ていた千葉くんが大きなため息をついた。

「あーあ。土曜の朝から電話で叩き起こされて、こんなくだらねぇことに巻き込まれて、やってらんねぇ」

そう言って、千葉くんが私と専務を睨みながら部屋から出て来る。

 
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