【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「色々ありがとう、千葉くん」
そう笑いかけた専務に、千葉くんは思い切り顔をしかめた。
「ありがとうじゃねぇよ」
「迷惑をかけて悪いとは思うけど、譲る気はないから」
私のことを抱き寄せ、専務がそう言う。
わけがわからず専務の腕の中できょとんとしていると、千葉くんは舌打ちをして歩いていった。
一体これは、どういうことなんだろう。
と千葉くんの後姿を目で追っていると、隣の部屋の住人が、玄関の前で騒がしい私達を不審がるようにドアの隙間から眺めていた。
「あ、朝からお騒がせしてすみません!」
慌ててお隣さんに頭を下げて、専務の手を引いて部屋の中に入る。
バタンと玄関のドアを締めると、専務が手を伸ばし私の頭に触れた。
ついさっきまで猫耳が生えていた場所を確かめるように、髪の間に指を差し込む。
「せ、専務……っ」
驚いて私が飛び上がると、専務は不思議そうに私の頭を見下ろしていた。
「本当に、ここに猫耳がついてたんだなと思って」
なんだか、触り方が意味深で、ただ頭に触れられているだけなのに、変な声が出そうになる。