【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
頬に、なにか温かいものが触れて目がさめた。
ぱちぱちと瞬きをして顔を上げると、至近距離で微笑む整った顔。
ぎょっとして、思わず体が強張る。
そんな私を見て、ベッドに肩肘をついてこちらを見下ろす専務が楽しげに肩を揺らした。
「驚いて毛を逆立てる猫みたい」
「だ、だって……」
朝起きて、目の前にこんな整った顔があったら、誰だってこんな反応になると思う。
そう反論しようとしたけれど、唇を塞がれて言葉にならなかった。
専務は私に覆いかぶさり、鼻先をこすりあわせるようにして、何度も触れるだけのキスをする。
私の反応を楽しむような、焦らすような、意地悪で甘いキス。
「せん、む……」
長い指がゆっくりと私の頭を撫で、指先が髪の間に潜る。ジタバタと足を動かしたけれど、肌触りのいいシーツの上をかかとが滑るだけだった。
キスにすっかり息があがり、頭がぼうっとしてきたころ、専務はようやく私の唇を開放し、にっこりと笑った。
「おはよう、詩乃ちゃん」
寝起きにこんな強烈なキスと魅力的すぎる笑みを投げかけてくるこの人は、きっと私の心臓を止めるつもりなんだと思う。