【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
黒い耳の内側は綺麗なピンク色。
目は緑がかった金色。
鼻先は桜の花びらみたいな薄いピンクで、尻尾は真っ黒。
その姿は、今日見た『にゃんだろう君』そっくりだ。
「『にゃんだろう君』グッズ、欲しかったなぁ……」
餌を食べるハチの横にごろりと寝転がり、そうつぶやく。
せっかく専務がくれたのに、あんな無愛想な顔をして、迷惑だから他の人に譲るなんて態度を取ってしまったことに後悔がこみ上げる。
「どうせ無愛想ですよ。どうせ可愛いものなんて似合いませんよ。どうせ猫よりも爬虫類のほうがぴったりですよ、どうせ、どうせ……」
なんで正直にあげたくないって言えないんだろう。
素直に嬉しいって言えないんだろう。
どこまでもひねくれた自分がいやになる。
「あー、もう、自分のバカ……」
自己嫌悪でフローリングの床にガンガンと額をぶつけながら唸る。
すると、餌を食べ終えたハチが、こちらに近づいてきた。
床に伏せた私の頭に、小さな額をこつんとぶつける。そのまま私の髪に頬ずりをして、もう一度頭をぶつけ、喉を鳴らす。
「ハチ……。なにそれ、慰めてくれてるの? それとも頭突きしてるの?」
私が顔を上げてそうたずねると、ハチは「にゃーん」と返事をして、また額をこすりつけてくる。