【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
意地っ張りと大切な猫
小学校から帰る途中、小さな猫を見つけた。
まだ目も開かない、生まれたての子猫。道端に置かれたダンボール箱の中にその子はいた。
細い手足でひっしに踏ん張り立ち上がろうとするけれど、大きな頭が重くてすぐにぺしゃりと潰れてしまう。
がんばれ、がんばれ。
思わず背負っていたランドセルの肩紐をぎゅっと握りしめながら、ダンボールの前でしゃがみ込む。
私の気配を察したのか、子猫はくんくんと鼻を動かしこちらに近づこうと必死に手足を動かす。
ぷるぷると震える足を踏ん張り、前足で手繰り寄せるようにして必死に前に進もうとする。
まだ短い尻尾を丸め、一生懸命こちらに来ようとする姿に、思わず手を差し伸べた。
子猫は怯えること無く私に指先に鼻を近づけくんくんと臭いを嗅ぐと、こてん、と頭を私の手にこすりつけ、そして鳴いた。
『にゃー』
空気を震わせた小さな鳴き声。柔らかな産毛。頼りないほど小さな頭。
どうしようもない愛おしさに、心臓がぎゅっと締め付けられた。