【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「食品マーケットショーはどうでした?」
「予想以上に好感触だったよ。事前に弘人が現地で根回ししてたところも大きいんだろうが、日本食ブームもあるし、低温物流事業はまだまだ展開していく余地がある」
背が高く華のある専務と、専務よりはひと回り背が低いけれど渋くて大人の色気を感じさせる社長。
ふたりが頭を寄せて会話する姿はとても絵になる。
美形親子だなと心の中で思う。
「その辺ゆっくり話したいし、今日の夜はひさしぶりにうちで夕食でもどうだ?」
社長と副社長の長男である弘人さんは、都内の高級住宅街にある一軒家に住んでいるが、専務は会社のそばにマンションを借りて一人暮らしをしている。
「母さんも、たまには顔を出せといつも言ってるぞ」
普段は社長と専務として接している社長が、父親の顔をしてそう言う。その言葉に専務はくすぐったそうに顔をしかめ、苦笑いしながらこちらを見た。
「冬木さん、今日のスケジュールってどうたっけ?」
私は慌てて近づきスケジュール帳を開いてみせる。
「夕方から仕入先の塔田酒造と打ち合わせを兼ねた会食が入っていますので、ちょっとはっきりした時間が……」
「あぁ、あそこの担当、自分のところのお酒飲ませたがるし、話が長いからなぁ」
私の言いたいことを読み取って専務が頷く。
「じゃあその移動に、俺の車使おうかな」
「え?」