【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「詩乃ちゃん、ちょっと触ってもいい?」

ぐい、と突然体を寄せられ、驚いて体が強張った。でも、動揺しているのを悟られたくなくて、表情を変えずに平静を装う。

「ど、どうぞ」
「嫌だったら、言ってね」

そう言いながら、専務の手が私の頭に触れた。
頭頂部からぴょこんと飛び出た猫耳。その根本を確かめるように、優しく指でなぞる。

ぞわぞわぞわ!

「……っん!」

うなじのあたりから得体の知れない感触が駆け上ってきて、思わず小さく飛び上がった。

「ごめん。痛かった?」
「い、痛くないです。平気です」
「そう?」

言いながらも専務の手は動き、耳の内側を指がかすめた。

「……ふ、んんっ!」

神経を直接ふれられたように、背筋がしびれてその場に崩れ落ちそうになる。

「やっぱり痛い?」
「ぜ、全然痛くないです」
「無理してない?」

顔を覗き込まれ、必死に首を横に振る。

痛くはない。ちっとも。むしろすごく気持ちがいい。

よくハチが私にしていたみたいに、専務の手に額をこすりつけて、もっと撫でてとねだりたくなる。
でもそんなみっともないことできるわけがなくて、欲求を必死でこらえ、しかめっ面で口をつぐむ。

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