【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「感覚もちゃんとあるんだな。耳に触れると尻尾がプルプル震えてる」
緊張で毛羽立った尻尾を観察するようにまじまじと見つめられ、恥ずかしくてうつむいた。
「尻尾にも触っていい?」
「どどどどうぞ」
恥ずかしくてしかたないけれど、この異常な状況を把握するためだから仕方ない。
そう自分に言い聞かせ、いつもの可愛げのない無表情のまま頷く。
「見せて」
そう言って専務は私に後ろを向かせ、真顔で尻尾を見つめる。
どういう仕組なのかはわからないけれど、尻尾は私の着ている服を無視しているようで、タイトスカートの上から立派な尻尾が生えていた。
なにこのありえない状況。
いたたまれなくて両手で顔を覆いたくなる。
「触るよ」
そう言って、専務が私の尻尾に手を伸ばした。
毛並みを確かめるようにそっと指でなぞった後、ぎゅっと握られ飛び上がる。
「ぎゃっ!!」
思わず猫耳を後ろに倒して専務を睨むと、専務は慌てて尻尾から手を離す。
「ごめん。力加減間違った」
「……いえ」
平気なふりをして首をふりつつも、尻尾は警戒して逆だったままだった。
「本物の猫も、尻尾に触られるの嫌いだもんね」
「そ、そうですね」
ふーふーと深呼吸をしながら、なんとか気持ちを落ち着かせる。