【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

すると、ものすごい視線を感じて、専務とふたりで振り返った。

「さっきから、なにしてるの?」

近所に住んでいる子供なのか、小さな男の子が首を傾げて私たちのことを見上げていた。

「え、いや、あの……」

いい歳をした大人ふたりが病院の玄関の前で、猫耳に触ったり尻尾を握ったりしていたら、そりゃ不思議に思うよね。

なにか言い訳をしなきゃと慌てる私の横で、専務が男の子の前にしゃがみ、視線を合わせて問いかける。

「ねぇ、このお姉さんの頭になにか見える?」

柔らかい専務の表情に、男の子は警戒する様子もなく、こてんとさっきとは反対側に首を傾げた。

「なにかって?」
「猫の耳とか」
「んーん」

ふるふると首を左右に振った男の子に、専務は「じゃあ尻尾は?」と黒い尻尾を指差してたずねる。

「尻尾なんてないよー?」

きょとんとした表情で首を傾げるその様子は、とても嘘をついているようには見えなくて、私と専務は顔を見合わせた。


お医者さんにも看護師さんにも、この男の子にも見えない猫耳と尻尾。
つまり、この猫耳と尻尾が見えるのは、専務と私のふたりだけってこと?

 
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