【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「あらやだ、憑いてるじゃない。思いっきり」
藁にもすがるような思いでやってきた、怪しげなお店。
窓のない店内は薄暗く、天井から垂れ下がる極彩色の鮮やかなヒラヒラした布や、あちこちに並べられた不思議な置物のせいか、異様な雰囲気だった。
カウンターで焚かれたお香から、甘ったるい匂いとともに、白い煙がふわふわと漂う。
その一番奥に置かれた革張りのソファー。そこに座った迫力のある大柄の美女は、私の顔をひと目見たとたん、そう言って笑った。
長く綺麗な栗色の髪、凹凸のある顔にはっきりとした色でほどこされたメイクが似合ってる。
しかしその顔から続く首には逞しい喉仏が浮かび、キャミソールから伸びる腕も驚くほど太かった。
このひとはもしかして女性じゃなくて……?
なんて困惑する私に、彼女(?)は一枚の名刺をぽいと投げてよこした。
『オカマバー【プラチナ】 ママ クミコ』
と印刷された名刺を受取り、あ、やっぱりそうですよね、と納得する。