【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「ここね、昼は占いと人生相談をやってるんだけど、夜はオカマバーになるから、お兄サン今度は夜遊びにきてよ」
私には投げつけるように渡した名刺を、専務には可愛らしく小首を傾げ両手で差し出す。
キャミソールからのぞく、クミコさんの胸元。
発達した逞しい大胸筋が両腕できゅっとよせられ、筋肉がもりあがって谷間を作る。
綺麗な顔と野太い声。
女らしい華奢なキャミソールと逞しく鍛えられた体つき。
ものすごいギャップにどうリアクションすればいいのかわからなくて、私は凍りつく。
しかし、専務は少しも動じることなくきれいな動作で名刺を受け取った。
「憑いてるって、幽霊ですか?」
店の異様な雰囲気に飲まれる私の隣で、専務がクミコさんの言葉を繰り返す。
「猫でしょ。白と黒の毛並みの。こういう猫、ハチワレっていうんだっけ?」
「も、もしかして、私に生えてる猫耳と尻尾、見えてるんですか?」
ハチの毛色まで言い当てられて驚く私に、クミコさんは逞しい肩をすくめて首を傾げた。
「猫耳は見えないケド、白黒の猫ががっつりアンタに取り憑いてんのは分かるわよ」
『霊能力者』『相談』『霊現象』なんて、それらしいキーワードを入れて検索して、みつけたこのお店。
半信半疑というか、もはや神頼みに近い思いでここまで来たけれど、どうやらこの霊能力者のクミコさんは本物らしい。