【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
ふーふー、と肩で息をしながら必死に平静を装う。
隣に座る専務がどんな顔をしているのか、怖くて見ることもできなかった。
「あんた、若くて可愛い女なんだから、彼氏がいなくたって、お願いすれば抱いてくれそうな男友達のひとりやふたりいるでしょ?」
男友達なんて、いるわけない。
人見知りで無愛想で可愛げがなくて無口で面白みもなくて、そんな私が異性と仲良くできるわけがない。
というか、普通の若い女性には、そんな事をお願いできる男友達がいるものなの?
セックスって、そんな気軽なものなの?
日本の貞操観念どうなっているの?
なんだか頭がクラクラしてきた。
でもそんなことを言ったら、クミコさんにも専務にもバカにされるに決まってる。
「そ、そうですね。私にだって、男友達の、ひとりやふたり……」
私はそんな動揺をおくびにも出さず、いつもの冷静な表情で口を開く。
すると、隣に座っていた専務に、手首をぎゅっと掴まれた。
「……っ」
驚いて専務のことを振り向くと、専務は優しい表情で私の言葉を遮るように首を横に振る。
「詩乃ちゃん、無理しなくていいから」
「む、無理なんてしてませんけど」
「そ?」
そう言った視線の先には、私のお尻から生えている黒い尻尾。