【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 
私の心の動揺を表すように逆だった尻尾が、ベシベシとものすごい勢いでソファーの背もたれを叩いていた。

必死に冷静な振りをしていたのに、狼狽えてるの、バレバレだった……っ!

慌てて尻尾を隠し、手で顔を覆う。

俯いた頭に生えた耳も、今はぺたりと寝てしまい、専務に気持ちがバレバレだろう。
もう恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ない。
尻尾や耳がなければ、いつものようにうまく本心を隠して立ち回ることができるのに。

ぎゅっときつく目をつぶっていると、専務の手がぽんと私の頭に触れた。

「別にさ、急がなくてもいいんじゃない?」
「え……?」

指先がゆっくりと頭を撫で、そのまま猫耳の裏のあたりをなぞる。
長い指に、カリカリと優しく耳をくすぐられ、気持ちが良くて自然と肩の力が抜けた。

「ん……っ」

気が抜けて、口から吐息が漏れる。
そのへん。耳の裏あたり。
指先で優しくひっかくようになでてもらえると、すごく気持ちがいい。


思わず条件反射のように頭を上げ、その手に自分から額をこすりつけると、専務は目を細めて笑った。

はっ。思わず気持ちが良くて、猫みたいに甘えてしまった!

その小さな笑い声に我にかえり、慌てて専務のほうに傾いでいた頭を真っ直ぐにして背筋を伸ばす。

落ち着け、私。
耳を撫でられたくらいでなに気を抜いてるんだ。

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