【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
……まったく、タチが悪い。
猫耳と尻尾が生えてからも、今まで通り冷静で無表情で無愛想に仕事をしているつもりなのに、専務の些細な言動に、いちいち尻尾や耳が反応してしまう。
それを面白がって専務がからかってくるから、私は毎日彼に振り回されっぱなしだった。
「今日の会議のプレゼン資料を用意してありますので、確認していただけますか?」
気を取り直し、コホンと咳払いをして、無表情で専務にファイルを差し出す。
「ありがとう。あれ、三種類あるけど?」
「時間に余裕があったので、三パターン用意いたしました」
そういってファイルを開き簡単に説明する。
いつもどおり専務が好むベーシックなものと、前年の数値とわかりやすく対比させたもの。
そして、グラフなどのひと目で分かる客観的なデータを多めに盛り込んだもの。
「どうしてこんなに?」
「前回の会議で、専務がイマイチプレゼン資料の反応がよくなかったとおっしゃっていたので。データを分かりやすく見せたほうが河原部長もスムーズに納得していただけるかなと……」
前回の会議のあと、専務が短くもらしたため息。
心配になって聞けば『資料のインパクトが弱かったのかな』とぼやいていたのが気になった。