【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
注意深く会議の出席者の退席するときの表情を見れば、専務が誰とぶつかったのかもなんとなく分かる。
専務よりずっと年配で長く勤めている保守的な河原部長は、新しい挑戦に意欲的な専務をよく思っていないようだった。
「俺のその一言だけで? すごいね」
資料に目を通しながら驚いたように眉を上げた専務に、私はかぶりを振る。
「ただ、時間があったからです。もし直すところがあればおっしゃってください」
「じゃあ、ここのグラフをここに挟み込んでもらっていい?」
「はい」
「あと、ここの見出しを大きくして、最初にもってこようかな」
専務の指示に頷きながらメモを取る。
「かしこまりました。修正してすぐにお持ちします」
軽く会釈をして役員室を出ようとすると、「詩乃ちゃん」と専務に声をかけられた。
「……冬木です」
ドアの前で立ち止まり振り返る。
すると専務がこちらに向かって優しく微笑んだ。