【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「詩乃ちゃん、いつもありがとう。本当に君のおかげでいつも助かってる」
甘い声で労われ、思わずドキっとしてしまう。
しかし、そんな動揺は微塵も感じさせない冷静な顔で首を横にふる。
「いえ、仕事なので当然です」
「そ?」
相変わらず可愛げのない返答をする私に、専務がデスクに肘をつき、こちらを眺めて楽しげに目を細めた。
意味ありげな微笑みに、一体なんだろうと首を傾げると、おもむろに一冊の本を取り出し開いてみせる。
あれは、没収したはずの『猫のきもち辞典』……! いつの間に!!
「ええと、尻尾を垂直に立てているのは、嬉しいときや……」
音読された文章に、ハッとして体をひねって自分のお尻を見れば、ピーンと立った尻尾。
私は慌てて専務に駆け寄り、本を奪って思い切り睨む。
「だから! こんな本、読まなくていいですっ!!」
真っ赤になってそう言った私に、専務は楽しげ肩を揺らした。