【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 



「うう……」



……体が痛い。

昨日、あのまま床の上で寝てしまったせいで、体のあちこちがギシギシときしむように痛かった。
自分のデスクで取引先の役員に出す礼状の準備をしながら顔をしかめる。

首も腰も痛いけど、とくに下側にしていた右肩が痛い。
宛先を書くために手にしていた筆ペンを一度置いて、ため息を吐き出した。

本当に私はなにやってるんだろう。
なきべをそかきながら床で寝てしまうなんて、子供みたいで情けない。

「あ。冬木さんわざわざお礼状、筆ペンで手書きするんですかー?」

通りかかった桃井さんが、私の手元を見て驚いた顔をした。

「宛先だけですよ」
「すごーい! 大野さんだって普通に印刷してるのに」

社長付きの秘書の大野さんは、私よりもずっと忙しくて、挨拶状もお礼状も用意する量が違う。
私も決して暇なわけではないけれど、若く軽く見られがちな専務の印象が、少しでもよくなるようにと、宛先くらいはできるかぎり手書きで書くように心がけていた。

 

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