【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

もう一度大きくため息をついて、筆ペンを持ち直す。

封筒に文字を書く私をながめながら「冬木さん、字キレイですねー」と桃井さんが感心したように言う。

「私、毛筆ダメなんですよね」
「私も苦手でしたよ」
「え、こんなにキレイなのに?」
「練習しましたから。桃井さんも練習すればいいですよ」

そう返すと、なぜか桃井さんは呆れたようにため息をついた。

「本当に冬木さんって、機械みたいですよね」
「そうですか?」
「うん。仕事完璧にこなして、いつも冷静で。落ち込んだり悩んだりすることなさそう」
「……そうですか」

感情の乏しい声でそう言うと、桃井さんは頷いて「じゃあ私お先に失礼しますね」と歩いていった。

「お疲れ様です」

そう言いながら、桃井さんの後姿を見送る。

落ち込んだり悩んだりなんて、いつものことなのにな。
昨日は泣きながら床で寝ました。
なんて言っても、桃井さんはきっと信じないだろうな。

 

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