【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「専務、お先に失礼します」
仕事を片付け、役員室に顔を出して挨拶すると、専務が読んでいた資料から顔を上げ立ち上がった。
「俺ももう帰るところだから、送っていくよ」
「え?」
きょとんとする私を無視して、当然のようにコートを羽織り、車の鍵を持つ専務。
「わざわざ送っていただかなくても、電車で帰れます」
「俺とドライブはイヤ?」
「イヤというか……」
戸惑いながら言いよどむと、「詩乃ちゃん、今日なんか元気なかったよね」とさらりと言われた。
なんでそんなこと。
と驚いて、慌てて頭の上の猫耳を手で隠す。
また耳や尻尾に感情が現れてたんじゃ……。
両手で頭を抱えたまま専務を睨むと、苦笑いして首を横に振った。
「そうじゃなくて。今日、目が少し腫れてたから」
そう言われて、目を見開く。
どうしてこの人は、そんな些細なことに気付くんだろう。
「それに、いつも広い歩幅でキレイに歩くのに、今日は少し体が痛そうだった。どこかケガしてる? それとも体調が悪い?」