【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「なんで……」


誰も気づかないほどの些細な不調に、どうしてこのひとは気づいてしまうんだろう。

「わかるよ。いつも詩乃ちゃんのことを見てるんだから」
「……っ」

ずるいくらい整った顔に綺麗な笑みを浮かべて、そんなことを言われ、私は思わず手の甲で口を覆った。

この人は察しがいいくせに、ところどころひどく鈍感だ。
そんな優しい表情でそんなことを言われたら、女がどんな気持ちになるか、想像してみればいいのに。

私の前に彼に惚れて移動になった三人の秘書に同情してしまう。
こんな人とふたりで仕事をしていて、好きになるなって方が無理な話だ。

俯いて唇を引き結んだ私に、専務は小さく笑いながら肩を叩く。

「行こう」



優しくそう言われ、熱くなった頬を見られないように、うつむいたまま頷いた。



 

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