【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「そういえば、この前詩乃ちゃんが作ってくれた会議の資料すごく反応よかったよ」
「そうですか。では次からもグラフを多めに入れるようにします」
少しでも専務の役にたてたならよかった。そう安堵しながら無表情で返事をする。
「いつもありがとう」
「……いえ」
甘い声でお礼を言われ、慌てて顔をそらした。
「それで、昨日の夜はどうして泣いたの?」
窓の外を流れる景色に見入っているふりをしていると、突然そう切り込まれ、驚いて運転席を振り返った。
どうして私が昨日泣いたってバレてるんだろう、と目を見開く。
「目元が腫れてたから、もしかしたら泣いたのかなと思ったんだけど、その反応はあたりだね」
驚く私の顔を見て、専務がハンドルを操作しながら薄く笑う。
「別に……」
うまい言い訳が思いつかなくて、それだけ言って黙り込んだ。
そんな私に専務は前を向いたまま優しい口調で続ける。
「今までいつも家でハチが待っていてくれたのに、ひとりの部屋に帰るのは寂しいよね」
その言葉に、私は返事をすることを諦めて、また窓の外を見る。
なんで私はなにも言ってないのに、専務は勘付いてしまうんだろう。