【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「ハチは恨んでいるっていうより、詩乃ちゃんと離れるのが嫌で、もう少し一緒にいたいと思ってるんじゃないかな」
「そう、なんですかね……」
あまりに楽観的すぎる考えだけど、そうだったらいいな、と思ってしまう。
「それに、その耳と尻尾が俺と詩乃ちゃんにしか見えないっていうのも、不思議だと思わない?」
そう問われ、首を傾げた。
「あの晩、一緒にいたせいもあるんだろうけど、ふたりにしか見えないことに、もっと違う意味もあるのかもしれないと思わない?」
ふたりにしか見えないことになにか意味が……?
専務がなにを言いたいのか分からなくて、戸惑いながら運転席をみつめる。
じっと黙り込んだまま言葉を探していると、専務がふっと目元を緩めて笑った。
「やっぱりいいや」
「いいって、なにがですか?」
「ううん。なんでもない」
私の問いかけに、専務は笑いながらかぶりを振る。柔らかく細めた目元に、くしゃりと寄るシワが色っぽい。
「そういえば、今まで二年も一緒に仕事をしてたのに、詩乃ちゃんが猫を飼ってたことに気づかなかったな」
「そうですか?」