【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「普通はなんとなくわかるんだけどね。猫とか犬を飼ってる人は、どうしても服に毛がついてたりするから」
「一応、洋服に毛がついたまま出社しないように、気をつけていましたから」
「どうして?」
「秘書という仕事柄、色々な人に会いますから。大切なお客様が猫アレルギーを持っていて体調を崩されたりしたら大変だし……」

私がそう言うと、専務は驚いたように眉を上げ、こちらを見た。

無表情のまま前を向いていると、大きな丸い瞳を緩め専務が小さく笑う。

「詩乃ちゃんのそういうところ、いいよね」

その言葉の意味がわからなくて首を傾げると、ハンドルを握りながら専務が口を開く。

「これをしたら感謝してもらえる。こうやったら上司に評価される。なんて打算が一切なくて、細かな気遣いをこっちに気づかせないくらいただ純粋に尽くしてもらえて、詩乃ちゃんが俺の秘書でよかったなって本当に思う」
「……そうですか」

身の丈に合わない褒め言葉に居心地が悪くて、短く言って黙り込む。
すると専務が微かに肩を上げた。
小さな含み笑いといっしょに。


 
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