【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
自宅のマンションの前に到着し、助手席のシートベルトを外す。
「送ってくださってありがとうございました」
そう言って頭を下げる私に、専務は「ん」と頷きながら車のダッシュボードの中を探る。
電話でもさがしているのかな?
いつまでも助手席に座っていては邪魔だろうと、会釈をして車のドアを開けようとすると、後ろから肩に触れられた。
「ごめん、待って」
耳元でそう言われ、驚いて振り返る。
すると専務は助手席の背もたれに腕をついて私を引き止めながら、軽く眉をひそめ今度は車のドアのポケットを探る。
「なにか、捜し物ですか?」
「んー」
眉間にシワを寄せながら、上の空で生返事をかえし、手を動かす。
一体なにを探しているんだろうときょとんとしていると、目の前の専務の顔が、突然ぱぁっと笑顔になった。
「あったあった」
なにがあったんだろうと思えば、その手のひらにはぬいぐるみ。
「あげる」
ぽんと手渡されたそれを見て、思わず目を見開いた。
白と黒の『にゃんだろう君』のぬいぐるみ。
内側がピンク色の耳をぴんとたてて、真ん丸の目を輝かせた、ハチにそっくりの『にゃんだろう君』がこちらを見ていた。